先日、とある仕事で大学生と話をする機会が
あったのですが、定期的に見直しがされている
学習指導要領の次の改訂で、多くの高校生が
学習する国語に相当する「現代文」が
「論理国語」と「文学国語」に分けられる
ことを知りました。
この話を聞いて、現代の日本の政治経済
そして教育の事情からすると仕方ないかなと
思いつつも、ちょっとした危機感を感じたので
今回はその話になります。
危機感というのは、
教育って、社会に出てから役に立つ人だけを
優先して育てることでいいの?
という危機感です。
論理国語というのは、いわゆる高校生たちが
社会人になって仕事をしていくときに
契約書やマニュアルその他ビジネスにおいて
文書を論理的に読解し、的確に判断したり
物事を論理的に伝えていく手段に
特化した国語ということですね。
もちろん厳密にはそれだけを目的にしていない
かもしれませんが、ざっと調べてみたことを
要約するとそうなのかなという理解です。
要するに将来、高校生たちが社会に出て
会社員として仕事で成果を出すためだったり
社会で活躍するために必要な国語と
直接的には役に立たなさそうに感じる国語に
分けたのかなと。
私的には、教育は人間や国そのものを作っていく
そのための一丁目一番地のような役割を
果たしているのかなと考えています。
もちろん大人になって、仕事をしてお金を稼いで
生活したり、適切に税金を支払っていくことは
社会人としては大切なことでしょう。
しかし社会人として活動といっても
全員が企業に勤めるわけではありません。
研究者・芸術家など様々な活動をしている方々も
いらっしゃいますし、例え経済的な貢献度が
低かったとしても、個人の存在価値に
上下関係はありませんよね。
お金持ち、社会的な立場が高い人が価値ある人
と思いがちですが、それは1つの物差しによる
評価の一部にしか過ぎません。
現在の日本の教育は、OECDという機関が
実施している国際学力調査があるのですが
読解力の平均点が国際的にみると
下がっていることが問題視されています。
なので、その点数をあげなきゃだよね
ということで実社会で活用できるものを
ということで「論理国語」が誕生した
背景があるようです。
もちろん、そのスコアを上げるためではなく
それでいいのかという意見も含め
有識者たちが様々な議論をしての決定
だったことでしょう。
しかしOECDというのは経済協力開発機構という
いわゆる「経済」という冠がついていますし
日本では文科省ではなく経済産業省が
担当していますので、やはり目的の1つは
「経済成長」につながる人材育成にあるのは
間違いないのかなと。
OECDがベンチマークすることを
教育で実現しようとすると
まあそうなりますよね。
学校教育=経済成長につながる人材育成
の色がどんどん濃くなるのも、ある意味必然です。
もちろん経済成長は悪いことではなく
我々が生活していくのに経済力は必要です。
多くの諸問題は、お金の力で解決できることも
また事実ですよね、きれいごとではなくて。
だけど子どもの教育が、いつのまにか
経済人として役に立つ人だけを
GDPを押し上げることだけを目的としたものに
なってくるのって、、どうなのでしょう?
その路線にうまくハマる人はいいかもしれません。
しかし、国民全員が受ける教育が
経済至上主義のような、実社会で役に立つものが
評価され、そうじゃないものはダメ
という風潮が強くならないかな・・
というのがやや心配ですね。
みんな生まれ持った個性はもちろん
家庭環境・育った環境は異なりますので
それらの組み合わせによって、その人が
得意なこと・苦手なことって必ず異なります。
みんなで同じゴールを持った教育・価値観で
推し進めていくとすると、例えば昨今
よくいわれるような多様性の受容などは
大丈夫なのでしょうか?
大きな国の方針での決定事項なので
私のような名もなき個人が何をいっても
変わらないことは承知しています。
だけど、経済的な貢献度が高い人だけが
価値があるような、逆だと価値が低くて
生きていても仕方ない的な空気が
強くならない方が、みんなが幸せになると
思うんですよね。
ブータンという国が、国の方針として
国民の幸福量を最大化していくことを
掲げていますよね。
物が何もなかった時代とは違って
経済成長というよりは成熟・衰退の段階に
入ってきているような日本だからこそ
個人や家族・所属するコミュニティの
幸福・人生の充実度アップを目指していく
そこにつながるような教育があると
いいなあと思っています。
今回お伝えしたかったことは
経済的な豊かさだけではなく
精神的な豊かさも持ち合わることも
とても大切なんじゃないかなということ。
そして、親が子に教育を与えることを考えた時
将来役に立つかどうか?という軸だけではなく
子どもの人間力や、人としての豊かさ
心の成長なんかも大事だと思うので
そのようなことを忘れたくないですよね。
最後までお読みいただきまして
ありがとうございます。
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