今回は最近読んだ「弓と禅」という本が良かったので
そちらの紹介になります。
スティーブ・ジョブズも日本の禅を理解するために
愛読していたとも言われる本ですが、概要としては
ドイツ人の哲学者へリゲルが、神秘主義を研究するも
どうも文献などを読むだけではピンとこず
自分自身が体験しなければわからないのだろうな
と思っていることから話がはじまります。
そんな時、オリゲルが西洋的な合理主義とは
全く違う、禅の考え方に興味を持っていたところ
ちょうど日本の東北帝国大学(現在の東北大学)に
哲学の講師として招かれて来日することができ
当時、弓聖と呼ばれていた阿波研造に弟子入り
弓道を通じて禅を会得するまでの話が
まとめられているのがこの本です。
日本が昔から大切にしてきた精神性や
禅の世界観がわかりやすく解説されているな
というのが私の読後感の印象です。
なぜこの本を読もうと思ったか?
ところでなぜ私がこの本を読もうと思ったか?
ここまでお読みいただいた方の参考になるかも
と考え、少しご紹介します。
私は5年前まで長らく会社員をしていて
仕事をする上で、論理的であることを前提に
物事を処理したり仕事を進めていました。
これってもちろん仕事に限らず、ですよね。
大人社会では物事を論理的に考えることは
必要なものですし、生活する上でも
大切なことです。
たまに論理的に破綻している大人も
見かけますが・・苦笑、社会生活を送る上で
必須スキルの1つであることは
間違いないでしょう。
しかし私が5年前に会社員を退職してから
占星術やタロットカードなどといった
不思議なものに出会う機会がありました。
元々、占い等に興味はなかった私ですが
占星術やタロットがどのような世界観で
成り立っていて、なぜ時代を超えても
活用され続けているのか?を学ぶことが
偶然できたのです。
で、まずはということで、自分の生年月日
出生時間・出生場所からホロスコープを出して
リーディングしてみるのですが
これが結構しっくりくるものがあると。
また自分自身の内面の変化を見ていく手法
プログレスチャートを読む、というのも
あるのですが、
プログレスチャート(進行図)とは?ホロスコープを使って自分自身の内面の変化をリーディングする方法
人生の転機になったタイミングでは
何かしら星からの影響がありそうなことも
わかりました。
そのような経験が面白かったので
ブログに書いたり、人と話をしていくと
「私のも見てほしい」
という声がかかり、他人のホロスコープも
読んでいくと、これまた驚かれることが多い。
ありがたいことに、口コミやリピートで
少しずつ広がって行った時に
一度も会ったこともない人のホロスコープを
読む機会がありました。
当然ながら、相手はどんな人なのか
私は事前には全く知らないわけです。
なので、純粋にホロスコープから読めることを
ご説明していくわけですが、ここでも
「自分のこと的確に言ってもらえて驚きました」
と感想いただくことがあり
いやいや、こっちの方がびっくりです。笑
そのようなことが何度も繰り返されると
どうやら世の中には科学で説明がつかないような
人智を超えた不思議な世界というものが
ありそうだと。
もちろん現代科学でわかっていることが
全てではない、ことは理解していました。
しかし、言葉に言い表すことが難しい
「何か」があるのではないか
という気持ちになってきます。
そんな経験から、時代を超えて普遍的に
活用されているものや、そもそも世の中が
どうなっているのか?という哲学的なものに
興味を示してきました。
そこで今回、日本人が元々持っている精神性や
ものの考え方などを学んでいるときに
禅について、初心者でもわかりやすく
評判も良かった「弓と禅」に出会い
読んでみた、ということですね。
どのような内容だったか?
この本は、弓道を通じて禅の話を
解説したものではありません。
ドイツ人であるオリゲルが禅を理解すべく
弓道を通じての葛藤をまとめたものなので
なぜそう考えるようになったのか?の
プロセスが、外国人の目線で詳述されています。
なので、私のような哲学や禅の初学者が読むと
理解がしやすく、なるほどと思う点もあるため
スティーブ・ジョブズなど諸外国の人が
禅を理解するために愛読したというのも
うなづけます。
オリゲルは元々射撃の選手だったこともあり
目標物を狙うという点においては一定以上の
経験があるという自負から、日本にきて弓道を
学んでいくわけですが、師匠の阿波研造からは
- 「的を狙っては射ってはだめ
- 「射ようとして矢を放ってはだめ」
などと言われ、とても困惑します。
なのでオリゲルは
「狙ってはいけないのだったら
どうやって的に矢が当たるのか?」
と当然のように疑問を持つわけですね。
「私が矢を放たないのであれば
一体、誰が放つのさ?」
と聞き返すのですが、そりゃそうだよねと
私も思いました。
その質問に対する答えが
- 「”それ”が射るのです」
というのですが、「それ」とは何か?
これを理解するまで、オリゲルは身体の使い方
呼吸の仕方などを師匠から教わることを守りつつも
何年も一進一退の状態が続きます。
そのような修行が続く中で、
「そこまで言うのであれば、師匠は
目隠し状態でも的に当てられるんですよね?」
と、やや喧嘩腰になるシーンがあるのですが
「そこまで言うなら今晩、道場に来なさい」
と阿波研造がオリゲルを呼び出します。
夜なので弓道場も真っ暗で、的も見えるのか?
という状態の中で、精神集中していた阿波研造が
2本の矢を放ちます。
1本目の矢は的に当たったような音がして
2本目は違った音がしたので、どうなったのか?
を暗闇の中、オリゲルが的を確認します。
そうすると、1本目の矢は的のど真ん中に
2本目の矢はなんと1本目の矢を裂く形で
同じく的のど真ん中に刺さっていた
と言う話なんですね。
これを見たオリゲルが衝撃を受け
自分自身の物事の認知がガラリと変わり
弓道を通じた修行を淡々と行うことで
禅とは一体何か?を学んでいきます。
読んでみての気づきや学びは?
私的には、禅というのは無心の境地となり
それこそ個を超えた世界と一体化するような
イメージがあります。
そのためには、精神的な修行を通じて
そうした境地に近づけるのかなと
思っているのですが、今回の弓と禅では
弓道を通じて、外国人がそこに至るプロセスを
まとめているのですよね。
弓「道」だけではなく、柔道・剣道・華道・書道
などの話も少し出てくるのですが
日本にはこのような「道」を通じて
人間的な成長だったり精神性を高めるものが
あるということです。
いわゆる修行のようなものを通じて
- 弓道が上手くなる
- 書道が上手くなる
というような技術の話ではなく、本来は
人格を磨いていく所に「道」があることを
感じました。
しかも、こうした話はどこかの本やブログに
書いてあったりもするのですが
本当の意味で自分が理解するには
体験してみないことには腑に落ちないでしょう。
先日、とある人とコーチングセッションをしていて
お金という価値の循環の話がテーマに
なったのですが、価値の交換活動の話は
それこそお金をテーマにした本に
たくさん書かれています。
ところが、クライアントさんが自分自身の
ビジネスの中で、提供価値の循環を実体験される
出来事をシェアしてもらい
「ああ、こうやって価値が巡って結果的に
対価としてお金が入ってくるのだな」
ということを身をもって体験され
腑に落ちたとおっしゃっていました。
私も占星術のセッションを通じて
同じようなことを感じ、人智を超えた何かが
あるのだろうという気づきが得られました。
このようなことは、体験したからこそ
はじめてわかるものです。
いくら人から説明されたり、本で読んでも
本質的に理解するのは難しのかもしれません。
インスタントに手軽に、誰でも体験できるものでは
ないでしょうし、その境地に至るまでは
時間もかかるでしょう。
ある意味、ヘリゲルが何年も弓道で
修行するプロセスが必要なのでしょう。
オリゲルがドイツに帰国する時、阿波研造が
- 「おそらくこれまでの友人・知人が
違ったように見えることでしょう」
というのですが、精神的に自己探求を深めた人
からすると、世の中のあらゆるものの見方や
人との付き合いなども変化するのでしょう。
私も占星術を極めたとは全く思っていませんが
こういう不思議な世界観を知ってしまうと
知らなかった世界には戻れないなと。
つまり論理や合理性だけが全てではなく
人智を超えた不思議な世界も織り交ぜながら
日常生活を送る視点にしか立てなくなる
という意味で確かにその通りだなと思います。
ということで今回は、「弓と禅」を読んでみての
気づきや学びについて、まとめてみました。
もしご興味ありましたら、あたなも
読んでみるといいかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。