今回は「馬券偽造師」として逮捕された本人が
印刷会社に勤務していた経験やスキルを使って
馬券偽造に手を染めて、１０年で１０億円ほど
換金して逮捕された実話を「負の勲章」として
著者自身がまとめたものが、とても深い内容
だったので、ご紹介しています。
どのような内容の本なのか？
大前提として、もちろん「馬券偽造」は
犯罪なので、やってはいけないなのですが
偽造のクオリティがとんでもなく高くて
逮捕した警察も
- 「そんなこと人間ができるはずない・・」
と驚愕するくらいの、狂気に満ちているような
馬券偽造に取り憑かれ、挑み続けるという
ある意味プロフェッショナルリズムを感じるもので
誰も実現できない世界をひたすら突き進む姿を
本人が経緯を詳述した内容になっています。
例えば、偽造にあたり馬券という紙の層を
印刷業界で仕事をしていた経験をふまえて
精緻に分析したり、印刷されている文字の
インクを針のようなカッターで削り
１ミリ四方の大きさに、点（網点）を６４個
打っていくプロセスなど、とても人間技とは
思えないほどの熱量を発揮していく様子は
ある意味「芸術家」とも言えそうな感じでした。
著者は、当初は普通に競馬を楽しむ
ファンだったようですが、だんだんと馬券
そのものに興味を持ち、人生の歯車が狂い始め
馬券偽造に手を染めるようになったようです。
そこには、人間の知的好奇心と倫理観の狭間で
揺れ動く心理描写が細かく記載されていて
人間の弱さや負の側面、そして奥深さも
垣間見ることができます。
読んでみての気づき
職人として技術を高めたり追求することは
素晴らしいことですし、職人気質な人にとって
１つの物事にずっとのめり込むことは
よくある話ではないでしょうか。
しかし、その道を追求することで一歩間違えれば
馬券偽造のような犯罪に手を染めてしまい
後戻りもできなくなる様子から
月並みの言葉ではありますが、人が持つ
道徳観や倫理観の大切さを感じました。
以前ニュースにもなっていましたが
Googleの画像認識の技術を米国の国防に
役立てようとした話があったようです。
しかし、世界トップとも言われる高い技術力を
戦争などの兵器に応用されることを懸念して
Googleは技術提供を断ったり、社員たちが
ボイコットしたというニュースですね。
技術が好きで追求したい気持ちは
とてもよくわかるのですが、それが社会にとって
世界にとってどのような影響があるのか？
これを考えて自分はもちろん企業が
行動を律するというのは大切なことでもあり
今回の馬券偽造師の話を読んでいて
歯止めが効かなくなる難しさもあるのでしょう。
特に職人さんとなると、基本的には１人で
物事を進めることが多いでしょうし
ホテルに缶詰になって１日に１０時間以上も
馬券に向かい合って作業をしていた
という話が書かれているので、誰からも
フィードバックがなされなかったことで
１０年も偽造に手を染めていたようですね。
人は完璧ではないので、ズルいところ
ダメなところを持ち合わせている生き物だと
思います。
だからこそ定期的に人と交流したり
自分がやっていることと世間一般で良しと
されていることを比較してみたり
客観的に見てみようとする姿勢が必要
なのかなとも思います。
また、本の中では完璧な馬券偽造と
思われていたものに、だんだんとほころびが
見られた経緯も著者自身が書いているのですが
例えば女性関係だったり自分のおごりのような
話から、自分ルールを破っていくことが
きっかけで警察に逮捕されていくという
くだりもありました。
ここにも人という様々な感情を持った生き物の
完璧じゃないところや難しさというのも
見て取れます。
ちょっとした気の緩みや、成功してしまうと
天狗になって転落してしまう人もいますが
成功しようが失敗しようが、ずっと謙虚に
学び続けたり行動し続けること。
一定のクオリティを長く発揮するためにも
大切なるのだな・・と改めて思いました。
馬券偽造という負の側面からではありますが
人間模様のありさまを詳述している本も珍しく
また人の愚かさやずる賢さなども見てとれる
内容だったので、とても興味深い本でした。
ちょっと違った角度から、人間というものを
理解するのにオススメな本だなと思いましたので
今回ご紹介させていただきました。
ということで今回は、「馬券偽造師」という本
からの気づきや学びについてまとめてみました。
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